Tune COOL! Brake

狙いは「意のままの減速」。
走りを自在に操るためのブレーキシステム。

■単に止まる性能を超えた、感性にシンクロした効き味へ。 
ブレーキに求められる性能の第一は確実に止まれる安全性。この点における量産車の技術開発は目覚ましく、制動倍力装置やABS、さらには自動ブレーキシステムまで、一般のドライバーにとっての安心感を高めている。 ただし、コーナリング時の繊細な荷重移動や車速の自在なコントロールといった、スポーツ志向のドライバーにとっての理想のブレーキは、スイッチの様にON、OFF的であったり、初期制動重視でガツンと効くのではなく、求める制動力が適確かつ自然に得られる性能、つまり意のままに減速する「感性にシンクロする効き味」だ。ストリートベストの実現に向けて、私たちAutoExeはブレーキシステムについても、こだわりである感性チューニングを貫いている。
クルマのブレーキは、ペダルから倍力装置、ライン、シリンダー、ローター、パッドなどを組み合わせたシステム。だから、完璧を求めるなら車体まで含めた総合的な対処がベストである。だが、量産車のチューニングにおいては現実的ではない。ここでは、比較的容易なパーツ交換で「効き味」のチューニング効果を体感できるブレーキパッドの取り組みをクローズアップする。

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■ストリートベストの理想はμが変化しない摩擦材。
ブレーキの最終的な目的は止まることだとしても、走りを愉しむドライバーにとっては「減速」も重要な意味を持つ。コーナーの入り口で踏むブレーキは、まさに車体の姿勢をコントロールし、次の加速への準備が目的なのだ。だから、どの程度の減速を目指し、どれくらいの力でペダルを踏めばよいか…というドライバーの期待と操作が、的確な減速に直結しなければならない。イメージとは異なる減速は「効き味」を損なうのみでなく、時には危険でさえあるといえる。
では、ペダル踏力と減速度との関係を左右するのは何か。最終的にその機能を果たすのがブレーキパッドだ。同一車両においては、概念的には、制動力は[ブレーキ圧力 x 摩擦係数(μ)]の比例と考えることができる。制動力の強さは、もしもμが一定ならドライバーの踏力だけに比例するから、ドライバーのコントロール性は良くなり、人馬一体の運転感覚が得られるのだ。しかし、残念ながら、摩擦係数は常に一定ではなく、車速や減速度に起因する発熱よる変化は避けられない。だから、ドライバーの感性にシンクロした効き味を楽しむためには、単にμの大小だけでなく、その変化の仕方を、できるだけ少なくすることが重要となる。

■減速度や減速時間で❝μ❞はどのように変化するか・・・。
ストリートスポーツブレーキパッドでは、過酷なベンチテストによって摩擦材の特性を念入りに評価。新品状態から始まり、通常の使用過程に至るまで400回以上のデータを連続して収集している。その中でも慣らしが終わり、パッド本来の性能評価が出来るテストの生データ(Ⓐ)をご覧いただきたい。50㎞、100㎞、130㎞の3種類の速度から停止に至るまで、減速度の異なる8通りのμをプロットしている。このパッドはμの目標値が0.42であり、最大0.462、最小0.378で0.084の幅で±10%の少ない誤差に収まっている。つまり、車速や踏力を問わず連続したブレーキングでもμの変化の振れ幅が少なく、安定した効きが得られているということだ。

■ブレーキング、その瞬間のコントロール性を極める。
次に、A図をさらにクローズアップしてみよう(Ⓑ)。A図のプロットは各テストの平均値であるが、実際はμが発生してから停止するまで、変化を繰り返している。μが発生している瞬間を時間経過で繋げた波形だ。理論上μの波形が水平の方が安定した効きが得られると推測しがちだが、その特性だと、ドライバーの感覚では踏み込んでも効きが甘いと感じてしまう。人間の感性では、図の通り減速が進むに従って、波形は右肩に向かって上がる方が踏力に対して減速がリニアなのである。
例えば、ブラインドコーナー進入時、十分減速したにもかかわらず、奥に行くに従ってRがきつくなり、さらにペダルを踏み込んだ時、μ波形が右肩上がりだと素早く減速する。逆に予測に対してRが大きい時は、ペダルを緩めて、瞬時に速度の回復が行える。それは安全面の観点でも優れた特性といえよう。意のままのコントロール性の実現には、このようになだらかな右肩上がりなμの変化がベストなのである。

減速度=負の加速度であり、単位時間あたりどれだけ減速するかの数値。単位はm/sec²、またはGを使う。例えば100km/h(≒27.8m/s)で走行中のクルマを5秒で停止させた場合の減速度は27.8÷5=5.56m/sec²(約0.56G)となる。


■μの安定のみならず、その「過渡特性」に着目する。

では実際の走行シーンで、一定の踏力で踏み続けたら制動力はどうなるかを、人間の感覚面から捉えてみよう(Ⓒ)。

このグラフでは赤線(μ)と黒線(車速)がμの変化によって減速度の関係性を直感的にイメージできるよう図示した。μの変化が少なく減速の仕方が一定の左図が優れているのはいうまでもない。他図はμの急激な変化が生じて、踏力一定でも減速の仕方が一定でない。それゆえ予測に反した減速を修正する操作が必要だということだ。
このように、私たちが目指した人間の感性にシンクロした「意のままの減速」を獲得するためには、μの変化の過程、図でいう右肩上がりの角度が重要である。その角度が急激だと効きが唐突に立ち上がり、逆に緩すぎると効かないと感じてしまう。踏力、車速、制動時間、温度などの影響によるμの安定は絶対であるが、その中でもドライバーの感性とズレのない変化量と変化のさせ方。つまりは「μの過渡特性」を見極めた摩擦材の開発が不可欠であり、「減速」を楽しむための重要な手段であるといえる。

■もう一つの鍵はシステムの剛性アップだ。
私たちのブレーキチューンはパッドだけに留まらない。もう一つ鍵となるのがシステムの剛性アップだ。量産車で許容される作動各部の僅かな歪みを抑えることによる“効き味”の改善余地は少なくない。私たちは、ブレーキング時の踏力を油圧へ変換するブレーキペダル~マスターシリンダーに至るユニットの歪みに着目したマスターバックブレースとブレーキペダルブレースを多くの車種に設定。ペダルを踏んでからブレーキが効くまでの僅かな反応の遅れを取り戻し、ストリートベストな効き味に磨きをかけている。さらには、ブレーキング時の発熱によるフェードガスやローター表面をクリーンに保つスリットを施し、安定した制動力をサポートするストリートブレーキローターを幅広い車種で展開した。私たちがブレーキに注いだ独自のアイテム群で、感性チューニングを、いっそう鮮明に体感して欲しい。

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