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「km/L」を支配するのは、原動機系のエネルギー効率vs. 走行抵抗の大きさだ。

走行中の車には、状況に応じてさまざまな抵抗が発生する。マイナスの加速度を与える力だ。従って、車が同じスピードで走行し続けるためには、これらの抵抗の合計に等しいプラスの加速度で打ち消さなければならない。それがエンジンやモーターなどの原動機から駆動装置を経てタイヤに供給される駆動力だ。
仮に、一台のガソリンエンジン車がa(km)を走行する時にb(L)の燃料を消費したとすれば、その間の損失エネルギーは、全走行抵抗(N) x 1,000 a(m) として計算できる。エネルギー(J:ジュール)=力(N)x距離(m)だからである。一方、その間の供給エネルギーは、bLのガソリンの含有エネルギー(J) x 原動機系(駆動系を含む)の効率である。
結果として、それが等しいのだから、燃料消費率a/b(km/L)は原動機系の効率に比例し、走行抵抗に反比例することになる。エコカーがエンジンや変速機の効率向上と同時に走行抵抗の低減を図るのは、このような燃費構造が存在するからだ。
>>損失エネルギーと供給エネルギーの計算式

頭の体操としてなら、燃料消費率の計算にスーパーコンピューターはいらない。

通常の燃料消費率は実車走行によるテストで測定するが、概略は机上でも計算できる。単純な原理原則のレベルだから、精密な制御を受けた実車の数値を正確にトレースすることはできないが、傾向だけは把握できるのだ。エネルギー(J:ジュール)や力(N:ニュートン)が相手なので、文系の頭脳にはいささか取っつき難いかもしれないが、何しろこういう時代だ。ネットにも平易な解説があったりするから、それらを参考に燃費の成り立ちの理解に挑戦してほしい。
車にかかる走行抵抗は4種類で、それぞれの計算式はこの通りだ。複雑そうに見えるが単位だけを計算すれば、すべてが質量(kg) x 加速度(m/s2)、つまり(N:ニュートン)となる。これを合計した全走行抵抗(N1+N2+N3+N4) に走行距離(m)を乗じれば損失エネルギー (J)が得られる。
ガソリンの含有エネルギーは44,000,000(J/kg)と分かっているので、比重の0.75を掛ければ33,000,000(J/L)と計算できる。消費したガソリン量(L)を掛ければ供給エネルギー (J)が出る。
後は、「損失エネルギー=供給エネルギー」という数式に必要なデータを入力すれば、燃料消費率に関する計算が可能になるというわけだ。 


  シミュレーション1 「40km/hのクルージング」におけるエネルギー効率。・・・詳細

  
シミュレーション2 「走行抵抗の変化」による燃費への影響。・・・詳細


大きく影響するのはアクセルを踏むこと。問題は「km/人」かも知れない。

一定の節度内のチューニングが燃費に与える影響は限定的で、それ自体が反社会的と糾弾されるレベルではない。ただし、問題は残る。ここまでのシミュレーションは平坦路での定速走行であり、言わば「大人しい運転」を前提にしているからだ。チューニングを施せば、それに応じた走り方をしたくなるのは当然。スピードも出すし峠道にも遠征するだろうから、そのような場面での、欲求の代償とも言うべき「km/L」をモデル車両で試算した。


極端な場合、勾配5.0%の 坂を登りながら40km/hから4.0m/s2の加速を得ようとすれば(実際に可能かどうかは別として)、0.77km/Lという燃費が計算される。下記より燃費シミュレーションプログラムをダウンロードできるようにしておくので、転がり抵抗係数・車両重量・Cd・車速・勾配・加速などを変化させて、諸兄のチューンや走り方のイメージに応じた燃費を試算してみてほしい。


燃費シミュレーションプログラム
こちらから、ダウンロードしてください。
Excel(xlsファイル 34KB)


さまざまな加減速を繰り返す通常の運転では、当然のことながら、走り方次第で燃費は変わるから、個の社会的責務とは、多分、所有する車のカタログに表示された「km/L」で満たされるのではなく、年間または月間あたりの「km/人」こそが問われるべきであろう。燃費とは、単に機械としての車の性能ではなく、「車+人」というシステムとしてのアウトプットなのだ。その認識がなければ、これからの時代の”Fun to Tune”を享受することはできそうにない。