新ボディ補強パーツ「モーションコントロールビーム」開発進捗情報②

前回は、主にモーションコントロールビーム(MCB)の開発の狙いについて説明しました。今回は、そのダンパーの構造について掘り下げようと思います。

ボディに装着するダンパー(ボディダンパー)は、サスペンションを除くと大きく分けて2種類あります。量産車メーカーも採用している「オイル式」か、MCBの「摩擦式」かです。両者とも、微振動を吸収する・・・という点では同じですが、その効き方が異なります。
ですので、まずは、ボディダンパーの基礎知識として、オイル式と摩擦式の違いから説明しようと思います。

■オイル式と摩擦式の違い。
<オイル式>
オイル式は、ストローク時に発生する減衰力によって振動を抑えます。減衰力は、オイルがピストンバルブを通過したところで立ち上がり制振します。

<摩擦式>
摩擦式は、入力を皿バネで受け持ち、摩擦板の摩擦力によって振動を抑えます。バネ定数が非常に高いので、ほぼリジットでブレース的に機能します。

ストロークしてから作動するオイル式と、ブレースのように機能する摩擦式では、作動プロセスが違い目的も異なります。私たちの狙いは、車体フレームエンド部の剛性アップ!・・・ですから、基本は剛性アップパーツとしての機能が必須。更に、皿バネだけでは微振動を繰り返してしまうので、摩擦力で制振できる摩擦式を採用したというわけです。
因みに、以前、オイル式をテストしたところ、ボディの振動が穏やかになり、角が取れたような雑味のない乗り味になりました。レクサスなどに標準装備しているのも頷けます。続いて、MCBの作動メカニズムについて説明します。

■摩擦板の作動メカニズムについて
MCBは、入力を皿バネで受け持ち、摩擦板で制振します。摩擦板は、硬質樹脂製で消しゴムを硬くしたようなもので、微小ストローク域とそれ以上のストローク域の2段階で作用し制振します。

・微小ストローク域は、摩擦板が入力に対してストロークさせまいと変形します。それと同時に、元の形に戻ろうとする弾性力が働き、これが第1の制振機能になります。

・それ以上のストローク域は、摩擦板が変形を超えてスライドし、ケースとの間に摩擦を発生させます。この摩擦力が第2の制振機能です。
因みに、内蔵されている皿バネのバネ定数は、サスペンションスプリングの100倍以上。なので、とても人力では動かせません。
また、ストローク量は、皆さまがワインディングを一生懸命走る程度(0.5G)で、およそ4μm(=0.004mm)程度です。実際、この程度の動きや振動ですので、コンピュータやセンサーでは、計測しきれません。しかし、人の感性は、その違いをしっかり感じとることができます・・・計測機器とにらめっこしているMCBの技術者もビックリしたようです。

MCBは、2019年度版の総合カタログに先行掲載しております。第1弾のロードスター(ND)用は2月末ごろ発売予定。さらにCX-5(KE・KF)/CX-8/デミオ(DJ)/アクセラ(BM)用を鋭意開発中です。今後の展開にご期待ください。

Posted by A.Asanuma