チューンナップの世界においては、ひたすらエンジンの最高出力や最大トルクのアップを図ろうとする勢力もあるが、私たちはその手法にはさほど固執していない。それらはピーク値であり、ストップ&ゴーやコーナリングのクリッピングポイントからの加速といった、「いつも多用する回転域」にはあまり関係の無い領域である。むしろピーク数値にこだわるあまり、スロットルを踏み込んだ瞬間からの過渡的領域ではパワーダウンを感じさせる場合も少なくない。あくまでストリートチューンを標榜する私たちが目指したものは、常用領域で瞬時にアクセルを通してフィードバックされる高いレスポンス性能=体感性のアップである。
基本は量産エンジンの制御システムと、そこにプログラミングされた「吸入空気量」と「燃料噴射量」を前提に、スムースに通すこと。具体的には、エアフィルターに吸入ロスを適度に低減した素材を採用してエンジンが要する適量な吸入空気をコントロール。またラムエアインテークシステムでは量産エアクリーナーボックスを排し、専用設計したリアルカーボン製のインテークダクトが空気を整流して流速を高めている。
マフラーに関しては、排気効率向上と消音効果のバランスをテーマに、メインパイプ径やレイアウトを最適化。内部構造を工夫したストレート構造または循環構造式サイレンサーのいずれかを採用している。エグゾーストチャンバーにおいては“吸い出し効果(脈動効果)”の拡大に着目しているのもポイントだ。また、エグゾ−ストポート直後に配置されるエグゾ−ストマニホールドは、排気流速を高める完全等長レイアウトを採用しエンジンの出力特性を改善している。無論、加速感の高揚に大きく影響する“音創り”についても、保安基準の上限値を余裕でクリアしたうえで、そのトルクレスポンスに同調した心地よいスポーツサウンドにチューニングしている。静かさを最優先し迷路のような消音機構が施されている量産車は、単に音量だけでなく、レスポンスやトルク感、即ちクルマからのインフォメーションとして伝わる速度感までを封じ込めがちである。クルマとのコミュニケーションを深めたいスポーツ派にとっては、この封印を解いて、スピードメーターだけでは伝わらない「濃密な速度感」の獲得をぜひとも目指したい。 |
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